システム開発の現場で人手が足りない場合、正社員採用だけでなく、SES(システムエンジニアリングサービス)によって外部のエンジニアリソースを確保するという選択肢があります。SESは業務委託の一形態で、必要な期間・スキルセットに応じて人材を調達できる点が特徴です。ここでは、SES活用のメリットと、契約前に確認しておきたい注意点を整理します。
SES活用のメリット
採用期間を待たずにリソースを確保できる
正社員採用は、募集開始から入社まで一定の期間を要します。プロジェクトの開始時期が迫っている場合、採用活動と並行してSESでリソースを確保することで、開発のスケジュールを止めずに進められます。
必要な期間・スキルに応じて柔軟に調整できる
プロジェクトの繁忙期だけ人員を増やす、特定の技術領域に強いエンジニアを一時的に確保するなど、正社員採用では対応しづらい柔軟な人員計画を組みやすい点もメリットです。
採用・雇用管理の負担を軽減できる
正社員採用に伴う社会保険手続き、評価制度の適用等の雇用管理業務が発生しない点も、SES活用のメリットとして挙げられます。
契約前に確認しておきたい注意点
指揮命令系統の整理
SES契約は「準委任契約」に基づく業務委託であり、労働者派遣契約とは異なり、発注者側がエンジニアに直接指揮命令を行うことは想定されていません。プロジェクトの実務運用において、指揮命令の形態が契約内容と乖離しないよう、契約時に業務の進め方を確認しておく必要があります。
スキルセットと業務内容の一致確認
依頼したい業務内容と、実際にアサインされるエンジニアのスキルセットが一致しているかは、契約前の面談・スキルシートの確認で見極める必要があります。ミスマッチが起きると、期待した進捗が得られないだけでなく、契約の見直しに時間がかかることもあります。
契約期間・更新条件の確認
プロジェクトの期間に対して、契約期間・更新のタイミングが合っているかを確認しておきましょう。プロジェクトの延長が見込まれる場合は、更新の可否・条件をあらかじめ確認しておくとスムーズです。
単価だけで発注先を決めないほうがよい理由
SESの契約単価は提供会社によって幅がありますが、単価の安さだけで発注先を決めると、スキルセットとのミスマッチや、体制変更時のフォロー不足といったリスクを見落としがちです。過去の業務実績・対応可能な技術領域・体制変更時の引き継ぎ対応の有無など、単価以外の要素もあわせて比較することをおすすめします。
自社の開発体制に合わせた組み合わせを考える
SESは万能な解決策ではなく、正社員採用・業務委託(準委任・請負)・SESといった複数の選択肢の中の一つです。長期的に自社にノウハウを蓄積したいコア業務は正社員採用、一時的な繁忙対応や特定技術の補完はSESというように、プロジェクトの性質に応じて組み合わせを検討することが、無理のない開発体制づくりにつながります。
まとめ
SESは、正社員採用では対応しづらいスピード感・柔軟性を持ってエンジニアリソースを確保できる手段です。一方で、契約形態の特性(指揮命令系統)やスキルマッチングの確認を怠ると、期待した効果が得られないこともあります。自社の開発体制・プロジェクトの状況に合わせて、正社員採用とSES活用を組み合わせて検討することをおすすめします。