経理・総務・人事労務などのバックオフィス業務を外部に委託する「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」は、社内リソースを本業に集中させる手段として広く活用されています。一方で、いきなり業務全体を外部に任せようとして、かえって社内外の連携が混乱してしまうケースも見られます。ここでは、外注する業務を選ぶ際の考え方を紹介します。
まず「定型業務」と「判断業務」を切り分ける
バックオフィス業務には、手順が決まっている定型業務(データ入力、請求書発行、勤怠集計等)と、都度の判断が必要な業務(採用の合否判断、契約条件の交渉等)が混在しています。外注を検討する際は、まず定型業務から切り出すのが基本的な考え方です。
判断業務まで一度に外部化しようとすると、社内の意思決定プロセスとの調整に時間がかかり、かえって非効率になることがあります。定型業務での外注の実績を積んでから、徐々に範囲を広げていく進め方が現実的です。
業務マニュアル化のレベルを確認する
外部に業務を委託するためには、その業務の手順がある程度言語化されている必要があります。「担当者の頭の中にしかやり方が無い」業務は、外注する前に一度、社内で手順を書き出す作業が必要になります。
この棚卸しの作業自体に時間がかかる場合もありますが、結果として社内の業務プロセスが整理され、属人化の解消にもつながるという副次的な効果もあります。
委託後の連携フローを事前に決めておく
外注した業務であっても、完全に「丸投げ」にできるわけではありません。委託先とのやり取りの窓口を誰が担当するか、確認事項が発生した際の連絡フロー、成果物の検収基準をあらかじめ決めておくことで、委託後のトラブルを防げます。
特に、委託先が処理した内容に誤りがあった場合の是正フロー(誰が気づき、どう修正を依頼するか)は、契約前に確認しておくべきポイントです。
スモールスタートで始める
いきなり複数の業務を同時に外注するのではなく、まずは影響範囲の小さい業務から試験的に始め、委託先との連携の仕方・成果物の質を確認したうえで、範囲を拡大していく進め方をおすすめします。
コスト比較は「時間単価」だけで見ない
BPOの費用対効果を検討する際、外注費用と社内担当者の人件費を単純な時間単価で比較しがちですが、それだけでは判断を誤ることがあります。社内担当者がその業務から解放されることで、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになる効果や、繁忙期・閑散期による業務量の変動に応じて柔軟に依頼量を調整できる効果など、金額に表れにくいメリットも含めて検討することが重要です。
情報管理・セキュリティ面の確認も忘れずに
経理・人事労務などのバックオフィス業務は、個人情報や機密性の高い情報を扱うことが多い領域です。委託先を選定する際は、情報の受け渡し方法、アクセス権限の管理、契約終了時のデータ返却・削除の取り扱いについても、契約前に確認しておく必要があります。
まとめ
BPO・バックオフィス外注を成功させるためには、外注先の選定と同じくらい、社内でどの業務をどの順番で切り出すかという設計が重要です。定型業務から着手し、連携フローを事前に決め、小さく始めて範囲を広げていくという段階的な進め方が、失敗を防ぐ基本になります。